インタビューコラム「再演・邪宗門」

ヴァイオリニストの佐藤一紀から電話があったのは2012年3月のこと。翌年の2月に行なう大掛かりなコンサートに、マネジメントスタッフとして参加してほしいという内容だった。そのコンサートとは、2011年1月に初演された、平野一郎の作曲によるモノオペラ「邪宗門」の再演だ。

電話を切った後も、佐藤の熱っぽい口調が妙に印象に残っていた。私は多分その瞬間から、モノオペラ「邪宗門」を取り巻く人々の尋常ならざる情熱を感じ、惹かれていたのだと思う。それは、久しくクラシック界では感じたことのなかった種類の熱気だった。
お金も手間もかかる大掛かりな現代作品を再演するという熱気、しかもそれが作曲家ではなく、演奏家からの話として伝わってきた。そのエネルギーを目の当たりにしたとき、マネジメントスタッフとしての立場とは別の、芸術家に対するいち個人の興味として、その情熱の根源を解き明かしてみたいという思いを強く持った。

これから連載する「再演・邪宗門」は、モノオペラ「邪宗門」を主催する芸術家集団「音色工房(おんしょくこうぼう)」の5人のメンバーに個別にインタビューを取り、それをノンフィクション風に再構成したものだ。作品の音楽的・技術的な解説ではなく、音色工房のメンバーの感情の流れを追うことで、芸術家の原動力を探り、モノオペラ「邪宗門」再演の意義を伝えようとする試みである。(2012/12/10~2013/4/20公開)