2014-07-13 朴守賢 インタビュー 2/8

  • 作曲コンクール第1位受賞

――とにかく無事に審査の対象になったわけですね

「第一次の発表の時期というのが4月末なんです。発表は封書で来ます。過去の経験上、一次を通っていたら早めに来るんですよ。20日代前半とか。ダメだったら30日の間際とか。僕は25日ぐらいから台湾に行くことになっていて、それまでに来なかったから、もうこれはダメだなと思って。でも29日に日本に帰ってきてから、一応ポストをのぞくわけですよ。でも落選でも封書は来るはずなんですけど、それすら来てないんです。30日になっても来ないし、5月1日になっても来ない。もしかして、もう落選の人には知らせすら来なくなったのかなと思っていた数日後、僕が台湾に行っている間に実家に帰っていた妻が、マンションのドアのポストに不在票が入っているのを見つけたんです。僕はマンションの下のポストばっかり見ていて気づかなかったんですよ。それが吹連からだったんです」

――連絡は書留みたいなので来るんですね

「受かった人には確実に届けないといけないから、書留なんでしょう。まあ冷静に考えたらそうだなと思いますが、そのときはあんまり何も考えずに、吹連?何だ?と思ったんですよ。それでようやく受け取ったら一次を通っていて、今度はパート譜を提出しないといけないと。不在票をずっとスルーしてたから、お預かり期間がギリギリだったんです。結局パート譜も本当にギリギリに出しました」

――またしてもギリギリで

「それで先日の本選。久しぶりの本選です。すごく緊張してね。過去2回は若さ故か何も知らなかった故か、あんまりそういうのはなかったんです。でもリハーサルの合奏の部屋に入ったら逆にすごく落ち着いて、過去一番クリアになりました。で、本選が終わったあとに、1位の人だけ翌日に電話で連絡しますって言われたんですよ。それは知ってたんです。過去の経験があるから。発表の日はずっと家でソワソワ、ソワソワして。電話が来るのは夕方ぐらいなんですよ。4時か5時ぐらい。でも4時になってもかかってこない。落ち着かないから4時半ぐらいに息子を保育園に迎えに行って。一緒に遊んでいるうちにパッと時計を見たらもう5時半とかになってて。妻はもう僕の肩に手を当てたりしはじめてるんですよ(笑)」

――ははは!

「よくがんばったよ、みたいな。そのまま引きずるのは嫌だから、自分の中では6時で区切ろうと。6時までにかかってこなかったら、さすがにこないだろうと。結局、6時になってもこなかったから、楽しみに結果を待っていた人たちに順々に返事を送り始めたんです。どうでした?って聞いてきてた人とかに、すごくズーンって落ち込んでるみたいなスタンプを送って。そんなことをしていたら、8時半ぐらいに留守電が入ってたんです。吹連から。不思議ですね、1位にしか連絡がこないって言われて留守電が入ってるということは、普通に考えたら1位だって判断してもおかしくないんですけど、すごく待たされてるし、もう落ちてると思ってるから全然そんな風に思わなくて。何だこれ?みたいな感じです。どうしたんですか?ぐらいの。そしたら大激戦だったらしくて審査が長引いていて、『今終わりました。結論から言うと朴さんの曲が1位に選ばれました』」

――何か軽いですね(笑)

「『え?あ、え!?ああ、ああー!』みたいな。で、おめでとうございます、ありがとうございますっていうやり取りがあって、明日の朝日新聞に結果が出ますけど、一応それが公表日ですと言われて。わかりましたって言って電話を切ったら、電話がブルブルブルブルなってるんです。ずっと。電話、メール、LINE、Facebookの通知。朝日新聞デジタルで既に結果が出てたんです。いや出てるやん!って(笑)」

――あははは

「だから僕が結果を知るよりネットの方が早かったんですよ。朝日新聞デジタルの時間を見たら7時51分だったんですよ。僕が電話したのが8時半だったんで、ネットの方が早かったんです。多分、速報で出すために朝日新聞が張りついていたんだと思います」

――吹奏楽コンクールは朝日新聞主催の一大イベントですもんね

「電話を切ったあと、絶対に検索されるだろうと思ったから、3年ぐらい放ったらかしているホームページを整理しないとだめだと思ったんです。そしたら既にネットで結果が溢れていたから、それを更新する間もなかったんですよ。ヤバいヤバいヤバい!って。僕が最初にしたことはホームページの更新だったんです。急いで最低限の更新をして、そしたら次の日にWikipediaでページができてたんですよ。ホームページを参照にして書かれてたから、更新しておいてよかったなと思って。ずっと古い情報のままだったから。それから3日間ぐらいはあいさつ回りでしたね」

――Facebookにもたくさんのお祝いメッセージが届いていましたね

「それはやっぱりすごく嬉しかったですよ。皆さんにこんなに喜んでもらえるとは。電話もいっぱいかかってきました。自分の師匠に連絡するのが大分後になってしまったぐらい。でもまだ、本当かねぇ?ってたまに思ったり」

――来年になってみないと実感はわかないかもしれないですね

「生き方のシフトチェンジ」につづく>

朴 守賢(パク・スヒョン)

1980年2月、大阪生まれ。
大阪音楽大学音楽学部作曲学科作曲専攻出身。

吹奏楽、管弦楽、室内楽、民族楽器、合唱、歌曲、朗読音楽、等の作曲・編曲
TVドラマ、CM、映画、劇音楽等の劇伴音楽制作
クラリネット、リコーダー、雲南の横笛「巴烏」(Bawu)等の演奏
指揮、音楽指導
音楽を通した世界各地での芸術国際交流
等で活動中。