人生50年

この1年、周りに「人生50年。あとは人生のボーナストラック」と言い回ってます。いつ音楽業界から離れてもいいように、音楽家としての最初で最後の証としてCDも作ったことだし(全然売れないんですけど!!!笑)個人的には充分いい思いをさせてもらったので、明日からの残りの人生が全く音楽と関係ない仕事になったとしても全然残念じゃないし、ここまでの人生は感謝しかありません。もっとも「音楽を愛する人たちのサポーター」は人生の目標なので、環境が変わってもそれが揺らぐことはないですが。

とにかく世の中の変化のスピードはどんどん加速していて、3年後の未来は全然予測できなくて、それよりも早いスピードで自分が先手を打って変化していく方が面白いんじゃないか、と思ったりしています。僕はいまだかつて10年以上同じ仕事をしたことがありません。あと15年ぐらいは働くとすると、何もアクションを起こさなくても、あと1回か2回は仕事を変わることになるだろうと予測しています。だったら自分の意志で次の一手を打つのもアリなのかなと。そんなことを言いながら、もうしばらくはこのままかもしれないけど。なんて予防線も張っておきつつ。

「幻想的小曲集」原曲紹介 2. 八木澤教司/陽のあたる庭

原曲はバリトンサックスですが、クラリネットやファゴット、ユーフォニアムなどで演奏できるパート譜がついてます。ホルンはなかったのでバリトンの譜面からパート譜を作りました。ホルンにとっては高くもなく低くもなく、ちょうどいい音域でした。

本当は何気ない日常を切り取った穏やかな曲なのかなという気もしてるけど、僕は前後にあるはずの日常を無視して、この1曲の中で完結したドラマを作るために、多少デフォルメした解釈で作りました。でも奇をてらったつもりはなくて、あれはあれで自然の景色なのかなと思っています。ただ、レコーディング初日の最初に録った曲なので、演奏に力が入りすぎて空回りしてしまいました。バリトンサックスのこの優しさをホルンでももっと出せたらよかったなぁ。

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「幻想的小曲集」原曲紹介 1. 新井洋平/ホルン吹きの男

ウミネコ楽団が2015年にリリースしたアルバム「Gasparo」の1曲目のセルフカバーです。本当はウミネコ楽団の音源でもホルンはかなりクレッシェンドをかけているんですが、ポップス仕様の音作りでかなりコンプがかかっているので、クレッシェンドがほとんどわかりません。それがちょっと心残りだったので、ソロアルバムでは本来やりたかったことを表現しました。

それにしても当時ほとんどリタイア状態だった僕が、西野亮廣さんがジャケットを手掛けた素敵なアルバムになぜ参加できたのか、その巡り合わせが今でも不思議でしょうがありません。

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サックス奏者Sumika待望の1stミニアルバム「音ノ辞書」

ソプラノサックス奏者、Sumikaさんの1stミニアルバム「音ノ辞書」が届きました。クラウドファンディングのリターンとして発売前に受け取りましたが、オンラインショップでの発売は11月15日からになります。

Sumikaさんは現在フランスの音楽院に留学されているサックス奏者です。音楽院の仲間と結成したサックス四重奏のメンバーとして数々のコンクールに優勝するなど、クラシック界での実力は証明されていますが、彼女のユニークな活動はYoutubeにあります。フランスに渡ったのを期に、人気アニメやゲームの音楽などをサックスで演奏した動画をYoutubeに公開しはじめたところ、クオリティの高い演奏とこだわりのミュージックビデオが話題になり、2019年11月現在で登録者数は4万人近く、総再生回数440万回以上という人気チャンネルになっています。

今回のアルバム制作にあたってクラウドファンディングを実施したところ、85万円を超える資金を集められました。10万円単位の高額リターンを設定していなかったにも関わらずです。目標金額は7万円という謙虚な数字だったので、達成率は実に1227%になりました。まさに全国のSumikaファンにとって待望のCD発売なのです。

収録曲は全てかしわ丸餅さんの作品です。かしわ丸餅さんは、インターネットを活動の場として、自作のピアノ作品の音源を発表されているクリエーターです。委嘱新作の「霜と月」以外は過去にピアノソロとして発表されていた楽曲で、かしわ丸餅さんが今回のために、ソプラノサックスとピアノ用に編曲されています。ほぼ原曲の雰囲気をそのまま残して編曲されていますが、「八重桜」と「夏の終わり」はソプラノサックスに合わせてキーを上げているので、原曲とはまた違った新しい発見があることでしょう。

収録された8曲は、日本の季節が順に移り変わっていくように並べられています。1曲目の「片時雨」はもともと秋の雨をイメージして作られたそうですが、俳句では冬の季語にあたります。もしかすると季節感のないオーブニング曲として使われたのかもしれませんが、2曲目「八重桜」の前に置かれていることで、春を待つ雪解けのイメージも湧いてくる曲だなと感じました。

個人的にはどの曲も、景色そのものを描写したというより、その景色から感じられる心情を描いたように受け止めました。でも原曲のピアノソロを聴いてから改めて聴いてみると、その印象はソプラノサックスが入ったからかもしれないと思いました。Sumikaさんの息吹が注がれることで、あくまでさりげなくではあるけど、より人の気配が感じられるのです。リスナーはそこに自分の感情を重ねることができます。

アルバム全体は、グラデーションのようにゆっくりと移り変わっていきます。ひとつひとつの季節や景色を意識せずに、ただ流れてくる音に身を任せて、その中から今の自分にぴったりの感情を見つけていくという聴き方もできるなと感じました。「音ノ辞書」というタイトル通り、このアルバムはひとりひとりの心の状態を教えてくれる辞書なのです。

Sumikaさんはソプラノサックスの魅力を伝えるためにCDを作ったと言います。でも幸か不幸か、純粋に音楽に浸っている間は、リスナーは楽器のことをほとんど意識しないかもしれません。きっと後から気づくことでしょう。これ、ソプラノサックスなんだ。なんて素敵な楽器なんだろう!って。そして、ソプラノサックスの中でもSumikaさんの音は特別なんだということに気づくのは、もう少し後になるかもしれません。それはSumikaさんにとって残念なことでしょうか?その心境は本人にしかわかりませんが、音楽にとって最高に幸せなアルバムであることは間違いありません。

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