2010-01-05 アニバーサリー・イヤー2010

クラシック界では、毎年「生誕200年」「没後150年」など、生誕か没後が50年ごとの節目を迎える、アニバーサリー・イヤーの作曲家が大きく取り上げられる。
しかし、どの作曲家も毎年同じように注目されるわけではなくて、作曲家の一般的知名度、有名な曲がどれくらいあるか、その有名な曲がオーケストラやピアノなどオーソドックスなジャンルに多くあるかどうかなどの分布バランスによって、盛り上がり方は違ってくる。

例えば2008年に生誕150周年を迎えたプッチーニ。
彼は「ラ・ボエーム」「蝶々夫人」「トゥーランドット」など有名なオペラをたくさん書いていて、重要度は間違いなく上位に位置するメジャー作曲家だ。
しかし、オペラ以外の曲はほとんど残さなかった、いわばオペラ専門の作曲家だったため、アニバーサリー・イヤーといえども、その盛り上がりはどうしても限定的になった印象がある。
プッチーニはやや特殊な例だけれども、他にもその年の巡りあわせによって、より有名な作曲家とアニバーサリー・イヤーが重なってしまう場合、その影に隠れて目立たなくなるケースなどもあり、単に有名な作曲家だから盛り上がるというわけでもないのだ。

そういう意味では、古今の作曲家の中でアニバーサリー・イヤーの盛り上がり方がずば抜けているのは、バッハ、ベートーヴェン、モーツァルトだろう。
いずれも作曲家としての一般的知名度は抜群で、それぞれに誰もが知っている有名なメロディをたくさん持っている。
さらにそうした魅力的な曲が、オーケストラ、ピアノ、ヴァイオリン、声楽など、幅広いジャンルに渡ってあるから、年間を通じて様々な演奏家に取り上げられ、大いに盛り上がる。
またレコード業界でも、こうした大作曲家の名曲には過去の名演が山ほど残されているので、それらを組み合わせた企画物セットなどが作りやすい。

2009年は、没後200周年のハイドンや生誕200周年のメンデルスゾーンが盛んに演奏された。
どちらもメジャーな作曲家であり、作品は豊富にあるのでレパートリーには困らなかったようだけれど、やはりモーツァルトなどに比べると小粒だったと言えるのではないだろうか。
でも今年はきっと、世界中で大いに盛り上がるに違いない。
何といっても2010年は、ショパンの生誕200周年である。
“ピアノの詩人”ショパンは、バッハやモーツァルトに負けないくらいの、作曲家としての知名度がある。
そして「幻想即興曲」「英雄ポロネーズ」「別れの曲」「革命のエチュード」「子犬のワルツ」などなど、ぱっと思いつくだけでも有名な曲がたくさん出てくる。
また、ピアノの演奏会で最も演奏される機会が多い作曲家のひとりであり、世間一般を巻き込んで盛り上がる条件としては、申し分ない。

ショパンは、オペラに特化しているプッチーニと同じように、ほとんどピアノ曲だけに作品が集中している作曲家だけれど、それが盛り上がりの障害になることはないだろう。
なぜなら、限られたホールで限られた団体によってしか上演できないオペラに比べると、ピアノは演奏者の数もコンサートの機会も桁違いに多いからだ。
純粋なオーケストラ作品こそないものの、2曲の有名なピアノ協奏曲があるから、オーケストラ団体もショパン・イヤーを享受できるのもいい。
CDでは新しい録音がいくつも出てくるだろうし、過去の名演奏を集めた安い全集セットなんかも発売されるんじゃないだろうか。
さらに今年は、ショパンの生地ポーランドで5年に1度開催されるショパン・コンクールの年にもなっている。
これで盛り上がらないわけがない!

次にショパンがアニバーサリー・イヤーを迎えるのは、没後200周年にあたる2049年。
ショパン・コンクールと重なる年となると、生誕250周年の50年後になる。
50年後に今と同じ感受性を持って音楽を楽しめている保証はどこにもない。
今年はショパンを思いっきり満喫しようじゃないか。

ちなみに2010年はショパンの他にも、生誕200周年を迎えるシューマンや、生誕150周年のマーラーなどの大物作曲家のアニバーサリー・イヤーにあたる。
特にマーラーは来年が没後100周年で2年連続のアニバーサリーとなり、こちらもかなり盛り上がることは間違いない。
今年のクラシック界は面白くなりそうだ。

Share this...
Share on Facebook
Facebook
Tweet about this on Twitter
Twitter