弦楽四重奏のコンサート企画を考えています。せっかくだから人気がある曲を聴いてもらいたいなぁと思っているんですが、弦楽四重奏業界にはあんまり詳しくないので、自分の感覚を頼りにしていいのかどうか、イマイチ自信がありません。
ということで、調べてみました。クラシックを客観的に判断するために僕がよく使っている方法ですが、CDとして発売されている件数をカウントするというやり方でランキングを作ってみました。僕がCDショップにいた時代からの愛用サイト、欧米のクラシックCDを大体網羅しているネットショップ「ArkivMusic」で、取り扱っている点数の多い順に並べてみました。
まず第10位から。同点なので2曲あります。
●10位 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第4番 71point
●10位 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15番 71point
ベートーヴェンが2曲入りました。
●8位 ラヴェル:弦楽四重奏曲 72p
●8位 ドビュッシー:弦楽四重奏曲 72p
CDでよくカップリングされる2曲が同点でランクイン。7位から2位までは全部ベートーヴェンです。
●7位 第9番《ラズモフスキー第3番》 75p
●5位 第13番 76p
●5位 第7番《ラズモフスキー第1番》 76p
●4位 第11番《セリオーソ》 79p
●2位 第16番 82p
●2位 第14番 84p
ベートーヴェンが大量ラインクインしているのは、CDというアイテムの特性も関係しているんじゃないかと思います。例えば「弦楽四重奏全集」という形でレコーディングされやすい作曲家の場合、マイナーな曲も全集には含まれるので、自然とカウント数が上がるというトリックがあります。さて、そんなベートーヴェンを押しのけて1位になったのは…
●1位 シューベルト:弦楽四重奏曲第14番《死と乙女》 114p
2位以下を大きく引き離しての断トツ1位は「死と乙女」でした。パチパチパチ。
でもですね、このランキングで注意しておかないといけないのは、アメリカとヨーロッパと日本では人気曲が違うということです。だから日本で参考にしようと思う場合、細かい順位に意味を求めてはいけません。ランキング形式にした本人が言うのもアレですが、「死と乙女が1位か!」という情報にあんまり意味はないです。「ふーん、この辺が人気がある曲なのね」という、ゆるーいくくりで参考にしてもらえればと思います。
と、ここで終わってもいいんですが、ベートーヴェンが大量ランクインで個人的にイマイチ面白くなかったので、作曲家が10人出てくるまで続けてみます。ベスト10までで4人の作曲家が出てきたので、あと6人出てくるまで続けます。今度は第12位から下がっていきます。
●12位 シューベルト:12《四重奏断章》
●13~15位 ベートーヴェン:1, 8, 12
●16位 ドヴォルザーク:12《アメリカ》
5人目の作曲家、ドヴォルザークが登場。
●17~20位 ベートーヴェン:10《ハープ》, 3, 5, 6
●21位 モーツァルト:19《不協和音》
6人目、ここでモーツァルトが初登場です。
●22、23位 ブラームス:1, 2
7人目はブラームスが2曲続けてラインクイン。
●24位 ベートーヴェン:2
●25位 シューべルト:13《ロザムンデ》
●26位 ショスタコーヴィチ:8
8人目はショスタコーヴィチです。
●27~29位 モーツァルト:15, 14《春》, 17《狩》
●30位 シューべルト:15
●31位 ブラームス:3
●32位 モーツァルト:18
●33位 メンデルスゾーン:2
9人目はメンデルスゾーン。
●34位 モーツァルト:16
●35、36位 ヤナーチェク:1《クロイツェル・ソナタ》, 2《ないしょの手紙》
10人目はヤナーチェクでした。おまけであと3人だけ。
●37位 ハイドン:第77番《皇帝》
●38位 チャイコフスキー:1
●39位 スメタナ:1《わが生涯より》
こんなランキングになりました。個人的に意外だったんですが、この形式だとハイドンが全然入ってこないんですよ。40位近くになってようやく「皇帝」がランクインです。これが海外だからなのか、実演とCDの違いなのか、要因は色々あるんでしょうが、主観が入らないランキングということで、ひとつのとっかかりとして参考になればと思います。どの曲にしようかという僕の悩みはあんまり解決しませんでしたが…(笑)