何を持って文化として根付いたと言えるのか?

ちょっと調べることがあって、自分の古いコラムを遡っていたら、我ながら興味深い考察をしている文章を見つけました。大阪のオーケストラは府民に根付いているのか?というところから始まる話で、「プロ野球だってたった数万人しか見に来ないじゃないか、興味がない人の方が多い、それが文化と言えるのか?」という投げかけに対しての、当時の僕なりの文化論です。

僕もこの記事を読むずっと前から、根付くとはどういうことなのか、文化とは何かを考えていた。
今の時点で僕が持っている結論は、「それがなくなりそうな事態になったとき、たくさんの一般市民が守ろうとするならば、それは文化として根付いている」というものだ。

仮に、日本に何か大きな非常事態が発生し、プロ野球が廃止されることになったとする。
そんなことになったら多分、日本中が大騒ぎになるんじゃないかと思っている。
年間に何度も球場に足を運ぶ熱心なファンだけでなく、草の根的なもっと広い範囲でたくさんの人がそれを守ろうとするだろう。
これが、自分たちの生活に根付いた文化に対する素直な反応なんだろうと思う。
何人観戦しているから根付いているという、単なる数字の問題ではない。
もし大相撲がなくなることになったら、やっぱり多くの人々が反対するだろう。
サッカーはどうだろう、ゴルフは、テニスは?
そうやって考えていったとき、クラシック音楽は、一体どれだけの人が守ってくれるんだろう?
クラシック音楽は、まだまだ多くの人たちにとって守るべきものにはなっていないのかなぁ、というのが僕の直感的な感覚だ。

僕自身、この文章の存在をすっかり忘れていたけど、なかなかいい線をついてると思いませんか?