「The Willing Willow」をIMSLPに登録しました

昨年、柳楽夫妻の結婚20周年を記念して委嘱させてもらった、ウミネコ楽団の新井洋平さんの新曲、クラリネット、ホルンとピアノのための「The Willing Willow」を、無料楽譜ライブラリーの世界最大手、クラシックやってる人はみんな大好き「IMSLP」に登録させていただきました。もともとクリエイティブ・コモンズに基づくライセンスが付けられている作品で、非営利であれば自由に使えるので洋平さんが無料で配布されていましたが、いつかIMSLPに登録できたらいいのになぁと思っていました。この前、洋平さんにお会いしたときにようやく切り出して快諾いただいたので、公開することができました。(IMSLPの編集は初見では大変で苦労しました。見よう見まねで作ったページを、編集者の誰かが整えてくださいました。ありがとうございます!)

柳楽夫妻の20年の歩みを描いてくださっていますが、どんな人にも置き換えることができる人生物語になっています。2人だけのゆったりした序奏から、大きな絵本を開いたように物語が始まります。時を刻むピアノのリズムに乗せて走馬灯のように巡る思い出、穏やかで優しさに満ちた語らい、そしてまた歩き出し、最後はこれまで支えてくれたみんなも集まって楽しく踊ります。「to be continued」のピアノの一打で、未来に思いを馳せて絵本はパタンと閉じられます。

洋平さんはクラシックの作曲家ではなく、普段はコードで曲を作られるので、ピアノパートを全て音符で書くのは初めてだったそうです。それでも洋平さんの世界に足を踏み入れてみたくて、無理を承知で依頼させていただきました。こちらが依頼しておいて大変失礼な話とは思いつつ、演奏者としての視点から色々と注文もつけさせていただき、何度か手直しをしていただきました。この曲は1回限りではなく、できれば広くたくさんの人に演奏してもらいたかったので、クラシックとしての不自然さをなくしておきたかったのです。

ラストはアイリッシュダンスのジグを模したパートになっているので、クラシック作品として見たときの軽さを好まない人もいたりするかなと思ったりしますが、あらゆるところに思いを込めることができる、本当に素敵な作品だと思っています。編成は違いますが最近だとエワイゼンのホルントリオとかも人気ですが、この曲もクラ、ホルン、ピアノという編成において同等の選択肢になり得るんじゃないかなぁと思っております。個人的には、いつかYoutubeに3種類ぐらい演奏の動画が上がったりしてくれないかなーとうっすら期待しています(笑)