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一番しっくりくるものを自然体で
――このアルバムには、全体にストーリー性を持たせてあると聞いたんですけど、どんなストーリーとかはあるんですか?
「それはあまり重要じゃないんです。曲の流れとしてストーリーになってる、みたいな感じなんですけど。朝が来て、昼になるみたいな」
――ああ、そういうゆるい感じなんですね。グラデーション的に何となく色が変わってくみたいな
「そうですね。聴いた人がストーリーを考えたりしてくれるので、それでいいかなと。意図して何かを狙ったとか、そういうものもあまりないです」
――特にはっきりした物語があるわけじゃないんですね
「聴いた人が、色々な感想をくれるので、本当に自由に感じていただけたらいいなと。僕はただその時に一番しっくりくる音を弾いて、それが録音されているという、すごく自然体な感じですね」
――なるほど。曲のタイトルにもあまり意味を持たせてない感じがするんですが、それは意識してるんですか?音そのものを聴いて欲しいというか
「大体は曲のイメージから浮かんだタイトルを付けています。それもだから、しっくりくるタイトルをつけたってことでしょうか」
――これもまた何かを狙ったわけじゃなく、しっくりくるものが自然体で収まってるっていうことですね
「曲順だけは、すごく練りましたけど」
――曲順は最初に決めてあったんじゃないんですか?
「あったんですけど、変えました」
――出来上がってきた音を聴いて、違うなって?
「音を聴いて、しっくりこず(笑)」
――それこそ、しっくりこなかったわけですね(笑)
「曲順を決めるのは1ヶ月近くかかりました」
<「このアルバムは今までのまとめ」につづく>
橋本秀幸
1986年、大阪生まれのピアニスト、作曲家。空間を活かした即興演奏と、作曲作品を軸に音楽活動を行う。自然と奏でられるシンプルな美しい響きで、様々な楽器や声との共演のほか、 ヨーロッパでも映像とのコラボレーションを行うなど多彩な広がりを見せている。ソロピアノ2部作として『earth』を2012年6月にリリース、同年冬に『air』をリリース予定。