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選曲について
井阪美恵さんは京都出身、南部由貴さんは鹿児島出身、それぞれ習っていた先生の勧めもあり、高校は東京の桐朋女子高等学校音楽科に進学されます。そして井阪さんは桐朋学園大学在学中にパリに渡り、パリ国立地方音楽院、ローザンヌ高等音楽院、ザルツブルク・モーツァルテウム大学で研鑽を積まれました。南部さんは桐朋学園大学を卒業後、ウィーン国立音楽大学に留学されています。
南部「井阪さんとは高校の時に出会いました。高校の時は私の先生がすごく厳しくて、まずソロをちゃんとやりなさいということで『室内楽禁止令』が出ていたから、一緒に演奏する機会はなかったんです。大学で一度だけ一緒にカルテットをやって、それで美恵ちゃんが先に留学して、私は大学を卒業してからウィーンに行きました。
向こうに行ってから、彼女が論文につける音源を録音するというので、私がお手伝いしたことがあります。その時に、日本に帰ってからも一緒にできたらいいねっていう話をしていました」
※井阪さんと南部さんが録音した、グリーグのヴァイオリンソナタ第3番の第2楽章は、井阪さんのウェブサイトで聴くことができます
https://www.mieisaka.com/music
井阪さんは2016年に帰国。今年4月に南部さんが帰国したタイミングで、日本での共演をスタートさせます。初めての本番は、今年5月に開催された「秋篠音楽堂 室内楽フェスタ」でした。そこでドビュッシーのソナタを演奏した2人は、出場者の中から優秀な1組に贈られる「フェスタ賞」を受賞、デュオ・リサイタルへの弾みをつけました。
南部「昨年、彼女が私より1年早く日本に帰ってきて、1年遅れて私が今年帰ってきて、2人とも京都に住んでるから、ちゃんとした大きい本番をバロックザールでやろうって言ってたんです」
井阪「最初に決めた曲は、プロコフィエフだったんです。プロコフィエフの第1番をやろうって決めてから、あとのプログラムを決めたんですよ。第1番のソナタは、アモイヤル先生の録音も聴いていたし、アモイヤルクラスにいたときには常に公開レッスン形式だったので、韓国人の友達が弾いていたり、カザフスタン人が弾いていたり、色んな国の人の演奏を間近に聴いていたんです。
例えばフランスものとかだったら、やっぱりフランス人が弾いたら一番うまいなと思うけど、プロコフィエフは誰が弾いてもしっくりくるというか、1946年に完成した曲だからまだそんなに経ってないし、感覚が現代に近い。だから、その土地に根付いた文化云々というよりは、今の人の感覚で弾ける。それを今、この年齢で弾きたいというのもあった。
こういうアクロバティックなレパートリーって、今やっておかないとタイミングを逃したら一生弾けない気がして。30歳って精神的にも体力的にも、ピークの時期の始めぐらいじゃないですか。20代だとまだ若い。多分40~50代ぐらいが一番脂が乗ってる時期だとおもうんですけれど、そこに向かっての歳に、ちょっと頑張ってこんなプログラムにしました」 <パート2「1917年と1946年」につづく>
(公財)青山財団助成公演 井阪美恵×南部由貴 デュオリサイタル
日時:2017年 10月28日(土)17:00開演(16:30開場)
http://barocksaal.com/concert_schedule/concert20171028.html
入場料:一般¥3,000・学生¥2,000(当日各¥500増)全席自由
会場:青山音楽記念館バロックザール
《演奏曲目》
◆ドビュッシー/ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
◆フォーレ/ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第2番 Op.108
◆プロコフィエフ/ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第1番 Op.80
《チケット販売》
◎青山音楽記念館 075-393-0011
◎チケットぴあ 0570-02-9999 (Pコード 330-368)
※未就学児入館不可
◆井阪 美恵 Mie Isaka ヴァイオリン
桐朋女子高校音楽科卒業。在学中、桐朋学園オーケストラのフォアシュピーラーや首席ヴィオラ奏者を務める。桐朋学園大学在学中に渡仏し、2010年パリ国立地方音楽院最高課程を修了。同年よりピエール・アモイヤル氏のもとで研鑽を積み、2011年にはアモイヤル氏とブラームスの弦楽六重奏を共演。2012年スイス・ローザンヌ高等音楽院学士課程ヴァイオリン科を満場一致の最高点を得て首席で卒業。同音楽院よりにエクセレント・リサイタル賞を授与される。
その後、国立ザルツブルク・モーツァルテウム大学で学び、2016年に同大学修士課程を満場一致の最優秀で修了。在学中はモーツァルテウム管弦楽団のエキストラとしても活動。2008年パリ・ヴァトロ=ランパルコンクールにて第1位及び審査員特別賞を受賞。第21回ブラームス国際音楽コンクール(オーストリア)室内楽部門にて、ヴァイオリンとピアノのデュオとして唯一セミファイナリストに選ばれる。2017年秋篠音楽堂室内楽フェスタ賞受賞。
これまでにヴァイオリンを田中千香士、石井志都子、フレデリック・ラロック、ジェラール・プーレ、ピエール・アモイヤルの各氏に、室内楽をヴァンサン・コック、パトリック・ジュネ、レオナルド・ロチェックの各氏に師事。2016年より拠点を日本に移し、いずみシンフォニエッタ大阪のメンバーとして『ウィーン・ムジークフェスト2017 Vol.3』に出演するなど、オーケストラ、室内楽、ソロなど、年間60回を超えるコンサートに出演中。ウェブサイト:http://www.mieisaka.com/
◆南部 由貴 Yuki Nanbu ピアノ
桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学音楽学部卒業。同大学研究科を経て渡欧。ウィーン国立音楽大学ピアノ室内楽科を最優秀の成績で、同大学院修士課程を審査員満場一致の最優秀で修了。第5回ルーマニア国際音楽コンクールピアノ部門第2位、併せてルーマニア政府観光局賞を受賞。第8回トレビーゾ国際音楽コンクール室内楽部門、現代音楽部門において第1位。第1回ベルリン。ライジングスターズグランプリ国際音楽コンクール室内楽部門にて奨励賞を受賞。
桐朋女子高等学校音楽科卒業演奏会、関西桐朋会新人演奏会、読売新人演奏会、ベートーヴェンハウス(ハイリゲンシュタットの遺書の家)でのコンサート”ベートーヴェンの午後Ein Nachmi ttag mi t Beethoven″ 、シューベルトの生家でのウィーン若手演奏家コンサートシリーズ”Junge Talente”、在パリ日本文化会館での”作曲家・伊福部昭オマージュコンサートなど、数多くの演奏会に出演。これまでにポーランド国立クラクフ室内楽管弦楽団、鹿児島モーツァルト室内オーケストラと共演するなど、ソリスト、アンサンブルピアニストとして演奏活動を行っている。
これまでにピアノを片野田郁子、兼松雅子、吉村真代、アヴェディス・クユムジャン各氏に、室内楽をアヴェディス・クユムジャン、藤井一興、原田敬子、テレザ・レオポルト、ゴッドフリート・ポコルニー、シュテファン・メンデル各氏に、歌曲伴奏法を木村俊光、ダヴィッド・ルッツ各氏に師事。現在京都在住。ウェブサイト:http://www.yuki-nambu.com