2008-07-18 笛と太鼓はニッポンの心

7月の京都と言えば何と言っても祇園祭です。
うちの店でも連日、祇園祭関連のCDやDVDを集めたコーナーの前で、コンチキチンの祇園囃子を流しています。
祇園祭は7月1日から31日までの1ヶ月に渡って行われるのですが、そのクライマックスは14日から16日の宵山、そして17日の山鉾巡行です。
実は僕はたまたま17日の午前中に健康診断に行っていて、午後からの出勤まで時間があったので、ラッキーなことに山鉾巡行を見ることができました。
最後の鉾が目の前を通り過ぎるのを見終わった後、コンチキチンの音を聴きながら、山鉾を追うようにゆっくりと四条通を歩いていったのでした。

お正月の神社やお祭りなどでピーヒャラドンドンという笛太鼓の音を聴くと、僕は何となく懐かしいような心地よさを感じます。
きっと僕だけじゃなくて、日本人は笛と太鼓を心地よく感じるような体になっているんじゃないかと思っているのですが、どうでしょうか。
それをクラシックに当てはめると、木管楽器(笛)と打楽器(太鼓)というのは、日本の感覚にマッチしてるんじゃないかというのが僕の持論です。
じゃあ弦楽器はどうかというと、日本の弦楽器は琴や三味線など、爪やバチで弦を弾いて音を出す楽器がメインで、ヴァイオリンのように弦を弓でこすって音を出す楽器はあまりありません。
だからヴァイオリンやチェロの音色というのは、本来日本人が持っていた文化とはちょっと違うものなのかもしれない、と僕は思ったりするわけです。

以前「日本に合うクラシック」を探したことがありました。
あるお客様から、披露宴で使うクラシックを探してリストアップして欲しいという依頼があった時のこと。
披露宴でクラシックを流すというのは、まあある話なのですが、そのお客様は和風の披露宴をされるということで、和の雰囲気に合うクラシックが欲しいというリクエストでした。
披露宴の詳しい内容は聞くことができなかったので、とりあえず自分なりに「和」をイメージしつつ、頭の中で色々なクラシックを流してみました。
オーケストラ、弦楽四重奏、ピアノ、ヴァイオリン……。
これが意外と難しく、普通の披露宴ならピッタリだと思える曲でも、和風となるとなかなかしっくり来ません。

和風、和風とつぶやきながら頭を抱えていた時、ふと思いつきました。
そうだ、笛太鼓の音と共に育ってきた日本の文化には、管楽器の音色が合うんじゃないか。
そこで管楽器の合奏に絞って思い浮かべてみたところ……見つけてしまったんです、和の雰囲気にピッタリと合う音を!
それがモーツァルトのセレナーデ第10番「グラン・パルティータ」です。
「グラン・パルティータ」は、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットなど木管楽器を中心とした、13人の管楽器による合奏曲です(ただし例外として弦楽器のコントラバスが1本入っています)。

派手すぎず落ち着きすぎない、絶妙なバランスの華やかさ。
映画「アマデウス」の中で、モーツァルトのライバル、サリエリが我を忘れて聞き惚れたほどの美しいメロディ。
何よりこの曲には、和の雰囲気にもピッタリと合う雅やかさがあります。
これだ、これしかない。
僕は自分の発見に酔いながら、残りの候補曲も含めたリストをお客様にお渡ししました。

残念ながら、それ以降お客様がお店に来られることはなかったので、最終的にどうなったのか知ることはできませんでした。
でも僕は今でも、和のテイストに合うクラシックで「グラン・パルティータ」を越える曲はないと思っています。
次に同じような依頼があったら、間髪入れずに自信を持ってお勧めしようと思っているのですが、まだそのチャンスは訪れません。
絶対に日本の感覚と合うと思うんだけどなぁ。
誰か試してみたい方、おられませんか?

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