【クラウドファンディング7日目】「作品」として残す

僕は自分の音楽や文章を「作品」として、形にして残したいという気持ちが、割と強いと思っています。単なる記録としての録音や、SNS上に残された一筆書きの雑文よりも、普遍性を持った「作品」に仕上げるために推敲したり手をかけたものは、より強い生命力が宿ると思っています。もちろん僕の演奏や言葉が、芸術としての価値を持つとはこれっぽっちも思っていませんが、それでも「作品」にすることで、プライベートな発信以上の何かを残せるかもしれないという期待はあります。それは、芸術家にはなれなかった人間の、憧れの感情も含まれるかもしれません。

ちなみに自分の文章の「作品」として、今のところ一番気に入っているものは、平野一郎さんが作曲したモノオペラ「邪宗門」上演を巡る人たちの心情を描いた、全15回の「再演・邪宗門」というインタビューコラムです。主宰した「音色工房」のメンバー5人それぞれ個別に取材し、ひとつの事象を5つの視点から立体的に描こうとしたものです。現在は5人の関係が当時と変化している部分もあるのですが、当時の記録を「作品」として残した意義は大きいと思っています。