音大で勉強する意味

「だったら音大はもっと就職に力を入れろ」という意見は今は置いておくとして。

音楽を専門に勉強してきたメリットって「自分自身の人生が豊かになる」ということではイカンのか?って思う。大変失礼な言い方になっちゃうけど、一般の音楽愛好家と音楽を専門に勉強した人たちとでは、演奏や作品に共感するポイントの深さが全然違う。その方法を手に入れただけでも、それだけで圧倒的に人生が豊かなものになるのは間違いないですよね。(一般の愛好家の方々を下げることが本意ではないのでご理解ください…)

あと、これは音楽や芸術に限らない話かもしれないけど、芸術を追求することって、何気ないことや些細なことに美しさや意味を感じる行為だと思っていて、その方法を手に入れることができたのなら、何気ないように思える日常に美しさを感じて生きることができるのかな、とか。

なんていうのは、競争社会に踏み出せない人間の言い訳かな。。。

タピオカ大陸/MC CLASSICA

タピオカ タピオカ タピオカ Dancing All Night

たとえば就職祝いで彼女にもらったタイピンを
カッコよく身に着け会社に向かう社会人としての第一歩は
身体に感じるエナジーと感謝の思いが湧き水のように溢れてた
彼はタイピンひとつで愛を語り切る

たとえば公園で拾った四つ葉のクローバーにラッキーの予感
そいつに人生の選択 導かれてきた第六感
四つ葉のクローバーは彼にとっては運命の悪路を断ち切る羅針盤
君だけの価値を解き明かす それがタピオカ大陸

※Hook
世の中で流行っていてもいなくても(タピオカ)
君だけのストーリーを呼び覚ますもの(タピオカ)
3年後にはみんな忘れていても(タピオカ)
積もっていく 時の結晶が震わせるもの(Dancing All Night)

R: & MUSIC

「この名前に込めた気持ちは今も変わっていません」

と言い切ってしまいましたが、正確にはその気持ちの範囲が、当時から少し拡大しています。

今回のCDで僕は「音大を出て就職した人でも、これくらいは音楽と付き合えるんだ」というモデルケースになりたいと思っています。就職は、音楽を続けるか辞めるか、100かゼロかの究極の二択ではない、と思っています。

僕は音楽関係の仕事をしていたことが多いし、今は個人事業で割と自由に動ける仕事をしてるから、例外のように思われるかもしれないですが、それでもササヤに入社して以降、仕事を転々としつつもずっと契約社員や正社員として働き続けた「一般企業に就職した社会人」です。連日夜遅くまで残業が続いた仕事、朝11時から夜11時というシフトが基本だった仕事、遅番→早番というシフトの時には、家に帰ったら寝る時間しかない生活だった仕事。家に帰ると何かをする気力は残っていないという時期もありました。働きながら自分が望むレベルの音楽活動を続けることは、言うほど簡単じゃないということは、実感としてわかっています。

今回のレコーディングも、決して充分な練習時間が取れたわけではないです。ミュートをつけて深夜に1時間練習できればいいほう。あとは毎日毎日、ただひたすら楽譜を眺め、頭の中で何度も何度も曲をリピートして、納得できる理想の音楽になるまでイメージを膨らませ続けました。

僕の音源を聴いて「50歳を目前にしてこれぐらいのものを残せるんだったら、ちょっと自分の未来が楽しみになるな」って思ってくれる人がいるなら嬉しいです。もし、自分もレコーディングをしてみたい、という人がいたら喜んで協力します。今はコンサートだけじゃなくて、色んな表現の手段があります。 一緒に未来を作っていきましょう。 僕たちは音楽を諦めた人なのではなくて「音楽もある」のだから。

& MUSIC

今回CDを制作するにあたり、8年ぶりに「& MUSIC」というレーベル名義を使うことにしました。この名前に込めた気持ちは今も変わっていません。

■「& MUSIC」とは
2011年3月。東日本大震災が起こったとき、周りのミュージシャンはみんな葛藤していました。「こんな時に音楽をしていていいんだろうか?」と。でも災害救助のプロでない限り、災害の初期に私たちにできることは、節電と募金ぐらいしかないと言われています。ミュージシャンはそれぞれプライベートでそうした行動もした上で、それにプラスアルファ、気が滅入っている人の心を癒やしたり、ほんのひととき現実を忘れる夢を与えることができるのです。だからもっと胸を張っていい、私はそう考えています。ミュージシャンには「音楽しかない」のではなくて「音楽もある」のだから。そうしたミュージシャンに対するリスペクトとエールの気持ちを込めて「アンドミュージック」というレーベルを作りました。

https://andmusic.buyshop.jp/about